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スマートデイズのような不動産投資のリスクを避けて少額のREITを持つ

投稿日:2018-04-08 更新日:

こんにちは。IT/経済ジャーナリストで投資家の渡辺です。

最近、家賃保証をした不動産投資が失敗した、という報道をよく見ます。

ちょっと疑問なのは、銀行の定期預金、さらには日本国債より利率のいい投資には必ずリスクがあり、絶対儲かるということはないし、儲かる利幅と損する幅は同じくらいあるはずです。

金融商品へ投資するのも不動産に投資するのも考え方は同じはずですが、なぜ業者は家賃保証ができるのか(多少営業力に自信があるのかもしれませんが、保証するのは無謀な気がしますが)、また投資した側も疑問なく億単位の投資をしたのか、根拠が理解できません。

不動産投資を煽る背景

少し前までは、銀行や保険会社など金融機関は、リスクをとって何かに投資しなくても日本国債さえ買っておけば、ほぼリスクなしで0.8〜1%の利子が取れました。

たとえば1兆円で日本国債を買っておけば毎年1%、つまり100億円が入ります。1人1千万円の給与を払っても、1,000人分の給与が払えます。

ところが、ゼロ金利やマイナス金利でこの収入が断たれてしまいました。

利益を出すためには、金融機関は高い利子の取れるサラ金やカードキャッシングなどの貸金業、または住宅ローンより高い利子の取れる不動産投資のローンに注力せざるを得ない理由があるわけです。

不動産投資の特徴

不動産投資の最大の特徴は、借金(不動産ローン)によるレバレッジが掛けられることです。

たとえば自己資金が300万円の場合、株で年間20%のリターンが得られたとして(うねり取りのまあまあ上手く行くケース)60万円です。

FXでレバレッジ3倍で同じくらい取れたとして、180万円のリターンになります(リスクが高いので、株より難易度は上がります)。

不動産であれば、たとえば300万円を頭金に3,000万円の物件を買うことができるので(銀行や信金の審査に通る必要がありますが)、自己資金の5〜20倍のレバレッジが掛けられるわけです。

もちろん借金なので返済の必要があり、たとえば3,000万円の物件から月々20万円、年間240万円のリターンが得られたとしても、ローンや固定資産税、さらに施設が壊れた場合の修繕費などを考えると、実質的な手取りは2〜5万円くらいあればいいところです。

自己資金300万円の投資で月に3万円、年間36万円とすると、年利12%で、うねり取りのパフォーマンスより分がよくありません。

また入居者がいないと収入が減ったり、地震や台風で施設が損傷したり、取引の際は1:1の相対取引で市場原理が効きにくいなど、現物ならではのリスクがあります。

特に、多くの金融機関が煽って不動産投資をする人が増えて競争が激化していること、空き家が増えて不動産が供給過剰になりつつあること、さらに人口が減っていることを考えると、常に満室で家賃保証は非常にハードルが高いように思えます。

レバレッジできないがREITならリスクは限定的

それでも実体があるものへの投資ということで、不動産投資は選択肢の1つとして視野に入れておきたいものではあります。

そこで編集人が活用しているのは、REIT投資です。REITとはReal Estate Investment Trustの略です。

ファンドを運営する法人が、多数の投資家から資金を集め、オフィスビルや商業施設、マンションなど複数の不動産などを購入して運営・運用します。

そこから得られた家賃収入、事業からの収益、土地や建物の売買益が投資家に分配されます。

法律上も売買の仕方も投資信託と同じですが、スキーム自体は商工業施設、マンションなど大型不動産に投資したことになります。

利回りだけでなく投資戦略も見ておく

REITを買うときは、以下のようなREIT情報サイトでここ最近(3年くらい遡るといいでしょう)の利回りを確認して、それなりに利回りの良いものを選びます。

参考: J-REIT市況月次レポート

特に、J-REITはETFと同様、株式市場で(株と同じように)売買できます。

REITはわりと値段が安定しているのですが、過去2年くらいのグラフを見ながら、1)分配金の利回りがよく、2)投資対象や投資戦略が理解できるものを、割安になっているタイミングで買うといいでしょう。

安い時に買えば、利回りもそれだけよくなります。

ちなみに編集人は利回りを見ながら、渋谷の商業物件などを運営している「東急リアル・エステート投資法人(8957)」などに投資していました。

しかし、133,000円で買ったものが145,000円になったところで売却してしまいました。年間分配金が2,500〜2,700円なので、4年分以上の分配金を先取りしたと考えたからです。

また135,000円を下回る水準になったら、再度参入しようかと考えています。

**********

編集人が株取引とオプションで使っているのは、以下の GMOクリック証券になります。同社の親会社GMOフィナンシャルホールディングス(7177)の株も100株保有しているので、取引手数料が最大3,000円までキャッシュバックされること、また株式と同じ画面からワンタッチでFX、CFD、先物・オプションなど、編集人が利用する金融商品の取引画面にジャンプしてグラフを見たり、買いを入れたりできるからです。

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