こんにちは。IT/経済ジャーナリストで投資家の渡辺です。
昨日2月5日の日経平均は1,100円近い下落、そして今日は午前(前場)は700円を超える上昇で、大きな下げの後の半値戻しという相場格言のとおりになりました。
このジェットコースター相場には、どのように対処したでしょうか。
今日の後場では、値を戻したところで、おそらく当面はあまり相場は元気がないという見立てで、投資家が何とか収支とんとんくらいでポジションを手仕舞いしていったん退却したようで、終値は昨日とあまり変わらないところに戻ってしまいました。
これは2016年6月24日の英国のEU離脱時(1,286円33銭安)に次ぐ下落でした。
●このジェットコースター相場を演出したのは?
しかし冷静に考えて、米国の利上げと英国のEU離脱が同じくらいの深刻なインパクトを世界経済に与えるのでしょうか。
もちろん景気が冷える方向に行き、しばらくは株価も伸び悩むのでしょうが、ダウや日経平均を数時間で1,000ポイント以上も下げるほどのものとは思えません。
この原因は、大手機関投資家の高性能コンピュータによる高頻度取引(HFT, High Frequency Trading)のせいだと言われています。
この取引では市場の様々な指標や情報から瞬時に判断して、1秒間に何万回という高速で自動売買が実行されます。
我々個人投資家がスキャルピング(FXなどでわずかな利幅を反射神経で手動で取引するシューティングゲームのような取引手法)や板読み(ある銘柄の売り手と買い手の状況を示した表を見て、投資家の意欲や意思を読み取り、株価の方向性を予測する技術)で手動で頑張っているのをあざ割るように、高性能コンピュータが何万回の取引で0.1円とかわずかな利益を積み重ねているわけです。
このコンピュータ売買が指標の下落を認知すると、損切りをしたり、相場の向きに付いていくために売りを入れたりします。
その結果、対象の価格が下がると、それが日経平均などの指標に反映され、そして指標の大きな下落が認知されると、また売りが入り、とシステムや指標が相互にマイナスの影響を与えながら、下げのスパイラルに入っていきます。
●大きな下げの後はリバウンドがある
しかし、これは経済の実態を超えたオーバーシュートな動きで、必ずどこかで揺り戻しがあります。
たとえば、前述の2016年6月24日の英国EU離脱ショックの際は、以下のように1,200円下げた日経平均が翌日350円戻しています(日中は500円以上まで上昇しています)。
日付 終値 前日との差
2016/06/23 16,238.35 n/a
2016/06/24 14,952.02 -1,286.33
2016/06/27 15,309.21 +357.19
同じく2016年11月9日のトランプショックの際は、1,000円以上下落したものの、翌日は1,000円戻し、いわゆる行って来い(単に1往復しただけ)になっています。
日付 終値 前日との差
2016/11/09 17,171.38 n/a
2016/11/10 16,251.54 -919.84
2016/11/11 17,344.42 +1,092.88
●リスクも意識しながら逆張りで買うべき
日本のバフェットと呼ばれ、個人株主では日本一だった竹田和平師は、「株は上げてもよし、下げてもよし」とよく仰っていたとのことですが、つまり上がれば利益が出るし、下がれば割安で買えるということです。
下落の時はもっと下がるのではないかという恐怖がありますが、それでも大幅な下落局面で買いを入れれば、戻りを取れる可能性が少なからずある、ということです。
編集人の過去の経験では、最大で3段下げがある場合があります。なので、大幅な下落時に買いを入れる場合は、もう2回分買える余力が必要ということです。
そこで十分な安値でさらに分割してより安い値で買えれば、さらに保有株の平均値が下がり、後のリバウンドで大きな利幅を取りやすくなるということです。