マーケットの動き 相場技法

うねり取りの仕掛けに失敗しないための5つのチェックポイント

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こんにちは。経済/ITジャーナリスト、投資家の渡辺です。

昨夜のニューヨークの凄まじい下げに煽られ、今日の日本市場も日経平均にして600円もの下落となりました。

まだプラスですが、今少し持っている編集人のポジションも含み益がやや減りました。

利上げということで、世界を牽引する米国の景気に少しブレーキが掛かるのでしょうか。

最近は、低金利で金余りで会ったためか投資意欲は旺盛で、多少何かあっても1日少し下げるだけで、全体としては昨年10月から1月下旬までは上昇相場でした。

ここからしばらく下降トレンドに入るのか、それともまだ押し目でもう少し上昇するのか。

どちらになってもいいように、編集人は上昇が3ヶ月続いた1月上旬から中旬にかけていったん利確していますので、これから自分の注目銘柄が下がったら、一定の幅で買いを入れていくつもりです。

 

ところが、同じレンジで動いているときはうねり取りは強いですが、このようにリズムが変わるポイントで思わぬ損を出してしまう方は少なくないようです。

編集人の分析では、失敗する方には以下の5つの原因があるように思います。うねり取りに取り組んでみたい方は、自分に当てはまるか確認してみてくださいね。

1、東証一部の大型株から銘柄を選んでいるか
うねり取りでは、なるべく株価の動きが安定していること(=比較的決まったレンジで、規則的に上下すること)、時価総額が大きく不正な株価操縦や仕手の影響をなるべく受けないこと(小さいと大口投資家のちょっとした動きで、値段が動いてしまう)、また倒産などのリスクも少ないという意味で、東証一部でなおかつ1日の取引量や出来高がある程度ある大型株からターゲットとなる銘柄を選ぶことを必須条件としています。

逆に新興市場の方が将来性のある会社があったり、株価が割安で買いやすかったりして、将来何倍にも化けるという夢がありますが、うねり取りで重要なのは、株価がある程度の範囲で収まっていて、その往復運動を取ることです。

2、過去2〜3年の値動きが適切に頭に入っているか
本来は自分がターゲットとする銘柄を手描きで作るべきといわれています。

その理由として、皮膚感覚で値動きをマスターするのが最大の理由です。

ここ2〜3年くらいの動きをよく見て、どのくらいのレンジで上下していて、いくら以下なら安値圏、いくら以上なら高値、いくらで参入して、さらにどのくらい動けばナンピンして、という青写真をある程度、整理できている必要があります。

さらに、もう1つ重要なことがあります。

それは値動きのポジションを正しく把握することです。

Yahoo!ファイナンスやその多機能チャートでも動きを見ることができますが、たとえば以下のチャートのように、グラフの下の線が600円になっています。

そうなると錯覚として600円が底値のように思ってしまいます。つまり相場の値動きに対する感覚に、不正確なバイアスが掛かってしまうというわけです。

しかし実際はこのグラフの下にまだ600円分下げる余地があるわけで、その事実を正しく腹落ちさせておく必要があります。

直近の半年とか1年の狭い範囲での値動きが、あたかも絶対的な事実だと錯覚してはならない、ということでもあります。

3、売買の合間に休みを入れているか
タイミングを測る→十分に安値圏に来たら、仕掛ける(ターゲットの株を買う)→さらに下げたら、分割してのナンピンで保有株価の平均値を下げていく→その後反転し、十分に利が乗ったら利確する、というサイクルで利益を得るのが、うねり取りの収益モデルです。

このサイクルが終わったら、すぐに次の売買に入るのでなく、いったん休みを入れるのが重要だと言われています。

自分の気持ち的にも区切りを付けたり、もしマーケットのトレンドに変化があれば、その変化を見届けてから、次の仕掛けに移ることができます。

たとえば以下のグラフを見ていただければ分かりますが、2016年は140円から180円で上下していた動きが、2017年からレンジが上にシフトし、180円から220円となっています。

2016年末にレンジの上にきたときに、いったん利確するかと思いますが、その後、1ヶ月くらいの休みを入れていれば、その後のレンジの変化にある程度対応できるかと思います。

この場合は、レンジが上に推移しているので買いであれば損はしません。結果オーライです。

ところが、逆の動き(レンジが下がる)の場合は、想定より株価が下がりますので、下げの途中でナンピンのための資金が尽きてしまうかもしれません。

そんなときは含み損を抱えたまま、せっかくのバーゲン価格で株が買えないという苦境に陥ります。

安値で買うチャンスを逃し、しかも身動き取れないと十分な利益が出せません。

フレッシュな気分で次の投資に取り組めるよう、そして節目でのトレンドの変化に(乗れないまでも)持っていかれないためにも、いったんポジションをゼロにしたら、しばし休んで相場から離れてリセットしてから、次のサイクルに入ることが大切だといえます。

4、余剰資金を残しているか
上記のトレンドが変わった場合の対応と関係していますが、資金に余裕がないままトレンドが変わってしまうと、(それぞれの方の投資方針によりますが)損切りするにせよ、しばし塩漬けにして含み損に耐えるにせよ、せっかくのバーゲン価格で買えないという残念な状況になります。

たとえば3分割での売買を想定しているにせよ、資金は少なくても5分割、できれば6分割くらいには分けておくべきでしょう。

つまり過去の動きや自分の感覚で3回に分けて買って、それからさらに想定外の方向に動いた場合でも、もう1〜2回追加でナンピン買いできるくらいの余裕を持たせておくことが必要です。

超安値で株が買えるのはもちろんですが、心理的にも(もう一杯一杯だ、これ以上、下がったらどうしようか)と余裕がなくなってしまうのか、それとも(この辺まで行ったらもう1回買いを入れるか? そうすれば平均値をx円まで下げられる)と冷静に相場を観察できるのか、でその後の展開は大きく変わってしまうはずです。

5、空売りをする場合に、買い玉数 > 売り玉数の範囲でやっているか
編集人も以前やってしまったことがありますが、過去半年くらいの値動きから見て十分に高値圏に来たと思い、今度はダウントレンドに入るだろうと思って空売りを入れたところ、想定外の勢いでどんどん上がってしまい、3回のナンピンでも足りず、結局かなりの損失になったところで損切りする羽目になりました。

相場格言で上昇するのは100日掛かるが、下落は3日と言われます。

とはいえ、空売りの場合は損失は青天井なので、想定以上の含み損に心理的にもプレッシャーが掛かりますし、場合によっては手持ち資金の余力を超えてしまい、追証(追加で信用売買の証拠金を入れること)が掛かることもあり得ます。

これを防ぐ方法としては、まず安値のときに買い玉を複数入れておき、その範囲内で売りを入れるということです。

たとえば、平均200円で5単位の株を買い持ちしている場合に、400円で売り玉を1枚入れると、200円の買い玉と400円の売り玉で200円の利益が確定します。

これがさらに上昇して、もし500円になると買い玉の利益が300円になり(-200+500)、逆に売り玉は100円の損失(400-500)になるので、差し引き200円になります。

逆にそこから下落して300円まで下げた場合は、買い玉の利益が100円になり(-200+300)、売り玉も100円の利益(400-300)になるので、こちらもやはり差し引き200円になります。

このように買いと売りを同時に建てる(=両建てといいます)ことで損失を確定することを「ツナギ売買」といいます。

下落で利益の出せる空売りは、相場での利益を伸ばすための重要な技法ではありますが、想定外の上昇で損失を出すリスクを抑えるために、売りで入れるときは必ず最初に買い玉を複数入れて、両建てにすることをお勧めします。

特にここ数年は、政治や経済のネガティブな動きで大幅に下落する日が年に何回かあります(ギリシア・ショックとか英国ショックとかトランプ・ショックとか)。

そして経済の混乱を過度に避けようという各国の金融当局の素早い動きで、すぐに市場に資金が供給され、あるいは経済を後押しする政策が発表され、すぐに株価が急上昇する、というシーンが何度も見られました。

このような状況で殺されないためにも、ある程度の技術や見識が身につくまでは、ツナギ売買を積極的に活用するのが良いかと思います。

何だかずいぶん長々と買いてしまいました。最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

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