相場技法

2つの動きのズレの増減で利益を得る「サヤ取り」

投稿日:2018-05-29 更新日:

投資家の夢としては、リスクを抑えつつ高いリターン(利益)を得ることです。

実際はリスクとリターンは表裏一体なので、100万円利益になる方法は100万円損する可能性もあるわけですが。

こんにちは。IT/経済ジャーナリストで投資家の渡辺です。

投資の基本は、以下にリスク(損失の可能性)を抑えて、しっかりと利益を取っていくかです。

ただしリスクの本質は標準偏差、つまりどのくらいの振れ幅があるかということです。

<過去記事>

【ここだけ理解すればOK】投資でいうリスクの意味

分かりやすくいえば、20%の利益が得られる可能性がある銘柄は、同時に20%の損失の可能性もあるわけです。

この損失をいかに最小化するかに、先人たちは知恵を絞ってきたのです。

その方法の1つをご紹介します。

 

売りと買いの組み合わせで両方の動きに備える

価格が上昇する局面では買いで、価格が下落する時は売り(空売り)で利益が取れます。

だったら、1つは買い、もう1つは売りで同時にポジションを立てれば、というのがサヤ取り技法の原点です。

もっとも、同じ銘柄では、片方が100円の利益になるともう片方は100円の損失になるだけで、何の意味もありません。

むしろ、売買手数料を取られる分、マイナスです。

そのため、「似たような動きをする2つ(以上)の銘柄について、片方を買い、片方を売る」という形でポジションを立てます。

似た動きをするのですが、微妙に動きにズレがあるので、2つの株価の差は開いたり閉じたりします。

この上下動を利用して利益を得るのがサヤ取りの仕組みです。

たとえば以下の図のように、ある時、同じ業界のランキング3位のA社の株価が5,000円、僅差でランキング4位のB社の株価が3,500円だったとします。

この時、両社の株価の価格差5,000 – 3,500 = 1,500円となることを覚えておいてください。

株で利益を出す基本は、「安い株を買って上昇で利益を出す」、または「高い株を売って下落で利益をだす」でした。

ということで、5,000円のA社を売って、3,500円のB社を買います。

リスクを抑えつつ利益になる事例

その後、何かこの業界にとってネガティブなニュースがあって、A社、B社ともに2割ほど株価が下がった様子をイメージしてください。

A社は5,000円から4,000円に、B社は3,500円から2,800円に20%ほど下がります。

この時、A社は空売りしているので、1,000円の利益、B社は買いポジションなので700円の損失

差し引きで300円の利益です。

普通にいずれか一方だけ持っていれば、1,000円もしくは700円の下落で損切りを考えないといけない下落です。

ところが、この方法では下落時に利益が取れてしまうわけです。

上昇の時も、A社は損になりますが、B社は利益になるので、大きくは儲けられませんが、大損害は避けつつ、着実に利益を重ねていけるのがサヤ取りのメリットです。

たとえば東京ガスと大阪ガスとか、中国電力と四国電力とか、空売り規制の掛かりにくい東証一部大企業で規模や動きの近い企業同士で、片方を売り、片方を買いで入れることが多いです。

またコンピュータを使って、いくつもの銘柄の株価データを比較して「相関係数」(2つのデータの動きが似ているかどうかを調べる統計手法)を算出し、動きが近い銘柄同士でポジションを立てるという手法もあります。

 

逆もあり得るので注意

もちろん、いつでもこのように利益が出せるわけではありません

予測の付かないことが起きるのが、マーケットです。

たとえばA社はそのまま5,000円なのに、B社で不祥事があって、株価が3,500円から2,500円まで一気に下落した、なんてことが起こり得ます。

古くはライブドアショックやカネボウの粉飾決算とか、最近だと東芝のチャレンジによる損失隠しとか。

A社株からの利益はゼロ、ところがB社の損失が1,000円なので、トータルで1,000円の損失になります。

これを股裂きといい、サヤ取りの最大のリスクです。

この時は自分でルールを決めておいて想定外の方向に何%か逆行したら、損切りをするというように、ルールを決めておくしかありません。

堅実にマイナス10%で損切りするか、最悪でもマイナス20%で撤退とか決めておくべきです。

たとえば東芝の粉飾決算のような、特定の1社だけ大きく動くような事態では、下手に耐えても、傷口が広がるだけですから。

とはいえ、利益を(比較的出しやすい)相場技法として、こういう方法もあるのだということを知っておいて、損はないかと思います。

この記事に関心を持っていただく方が多いようであれば、具体的なやり方についても、いずれ詳細に解説したいと思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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