こんにちは。IT/経済ジャーナリストで投資家の渡辺です。
人工知能生活マガジンにビジネスや企業でいうリスク管理について、説明してみました。
まず「リスク」というと、危険とか危機のような意味で捉える方が多いかと思います。
ただし、もう少し厳密にいうと、「不確定要素」という意味合いになります。
もちろん、いい不確定要素、つまり収益になるとか、幸せな気分になるとかであれば全然いいのですが、不確定ということは、起きるとまずいこと、損失になることも含まれます。
投資の世界で不確定というのは、いうまでもなく、金融資産や金融商品の値動きのことを指します。
外貨と日本円の交換レート、つまり為替レートが一刻一刻と変わっているのはよくご存知でしょうし、株価も高くなったり安くなったりします。
リスク=標準偏差
投資の世界でいうリスクとは、ずばり「標準偏差」のことです。
標準偏差というのは平均値から見て、それぞれの要素がどれだけバラついているかを示しています。
これを金融の世界でいうと、ある銘柄や金融商品の動きの大きい、小さいを示します。
感覚的に値動きが激しい銘柄を「じゃじゃ馬」とか「暴れ馬」と言ったり、経験則としては昔からバラツキに対する意識はありました。
それを数学的に(算数かもしれませんが)一定期間の標準偏差として処理した数値を「リスク」と呼んでいます。
たとえば、今同じ株価が1,000円の銘柄A、Bでも、銘柄Aは1日に5%動く、もう片方の銘柄Bは1日に10%動く場合、銘柄Aはおおよそ1日で50円儲かる、または50円損する可能性があります。
もちろん全然動かない日もあるし、〇〇ショックみたいな日だと1日に200円とか激下がりする可能性もあります。
東証の株は1日に20%程度で取引ストップが掛かるので(価格帯で決まっているので、正確には20〜30%の範囲になりますが)、いったんそこで止まりますが、損切りの連鎖で翌日もひどく下がることがあります。
一方、銘柄Bは1日で100円儲かる、または損する可能性があります。
この場合、銘柄Bの方が「リスクが高い」ということになります。
リスクの期間
過去の値動きを分析する際に、標準偏差を使うのは有効です。
特にうねり取りをする場合は、ある程度、値動きが安定的で規則的な、つまりリスクが中から低くらいがいいと思います。
そのため東証一部の大企業の銘柄を扱うべしという、教えがあるのですから。
編集人が分析をするときは、1年、2年、できれば5年の3つの期間を調べています。
いわば、短期、中期、長期という意味になります。
もちろん、トレンドは変わるので、5年前の数値が今どこまで参考になるかは分かりませんが、少なくても、全期間を通じて、数値に大きな変化がなければ、相対的にリスクは低いと考えていいと思います。
もちろん東芝(6502)のように巨額の損失隠しや粉飾決算が出てくる可能性もあるので、100%安全ということはありませんが(以下は編集人がメインで使用しているGMOクリック証券より引用した10年分の月足グラフです)。
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そちらについては、銀行預金でさえ、銀行が潰れるリスク、ハイパーインフレが起きて円の価値が毀損し、ペットボトルのお茶1本が500円とか1,000円になる、なんて世界もあるので、100%安全はないのがこの世界ではありますが。
標準偏差の計算するにはSTDEV関数を使う
電卓で計算することもできますが、パソコンをお持ちであれば、過去の株価データを元にMicrosoft Excelを使うといいでしょう。
株価データは証券会社のデータを使うか、Yahoo!ファイナンスの「時系列」の表をExcelにコピー&ペーストするなどで用意します。
昔は有志で株価データを提供してくださっている方などいたのですが、著作権などを理由に潰されてしまいました。健全な投資家を育て、適切な投資活動を推進するという意味では、金融行政や金融市場のやる気のなさが目立つ出来事ではありました。
そしてSTDEV関数を使い、株価の終値の範囲を指定します。
たとえば、株価の範囲がF列の2行目から221行目であれば、どこか別の空いているセルに「=STDEV(F2:F221)」と入力すると、1日あたりの標準偏差が出ます。
これを期間毎に比較したり、同業他社で規模も近いところ(業界1位と2位とか)で比較したりして、検討していくことになります。