こんにちは。渡辺です。
トルコリラはスワップが高く、価格も安いため高金利が得られます。
その利率はレバレッジなしでも10%前後になります。
0.1%の日本の定期預金から考えたら、夢のような金額です。
そのため、いくつものFX証券会社でキャンペーンをしています。
しかし、いくつかの要素を考えると、リスクが高く、あまり近づかない方がいいと考えます。
<この記事の要約>
安値でスワップの高いトルコリラは、投資対象としてよく宣伝されている。しかし、リスクが高いので、積極的には勧められない。どうしても売買するとしても、勝てる方法はかなり限定される。
この記事の目次
リスクが高い投資は避けるのが基本
投資の基本は、高いリスクを避けることです。
といっても、リスク(価格の変動)こそ利益の元であるので、低〜中のロワーミドルリスクのロワーミドルリターンをベースに、自分の投資戦略を考えるのが良いかと思います。
適切にリスクを取る必要はありますが。必要以上にリスクを取るのはギャンブルであり、投機で、よほど余剰資金でもない限りはやるべきではありません。
その意味で、最近いくつかの証券会社の広告で、高スワップ(利息のようなもの)で価格も手頃なトルコリラで投資をしようとか、高利率のトルコ債券を募集しているのを見ました。
現在でも、26〜27円程度の価格で、1万通貨の買い持ちであれば、1日のスワップが80円程度付きます。
1年で80 x 360 = 28,800円になり、レバレッジなしで28,800÷26万円ですから、年利11%にもなります。
レバレッジ2倍で22%となり、仮に500万円分(レバレッジ2倍で1千万円)買っていれば220万円の年利(約20%の税金は掛かります)。
寒くないエリアの田舎町なら、隠居できるレベルです。
お勧めしない理由1: そもそも価値の下落がひどい
ところが、以下のグラフを見てください。
2010年には65円あった価値が、最近では26円まで減っています。
特に2015年からは下がる一方です(1目盛り=2年)。
同じ通貨でも、以下のオーストラリアドル(以下、豪ドル)はどうでしょうか。
こちらもいったん、105円ちょいから75円の下落しています。
それでもその後、90円まで戻したりして、最近は80〜90円の間で動いています。
株に比べればけっこう乱高下していますが、20〜30%の範囲の下落です。
少なくても同じ期間で60%も下落する通貨が、いかにリスキーか分かります。
お勧めしない理由2: 国際政治的に不安定なエリア
もう1つ、ニュースで見ている方も少なくないと思いますが、かつてイスラム国があり、今でもシリアやその内部にいるクルド人の問題を抱えています。
また、イスラエルに対しても大統領が「テロ国家だ」と発言するなど、自国内部の人種や宗教の問題、今でも紛争の続くイスラエルやシリアとの険悪な関係があります。
さらにイスラエルの背後には支援するアメリカがあり、シリアはイランから武器供与を受けたりしています。
何か紛争があれば価格が乱高下しますし、危険なポジションにあるトルコの経済も安定しているとはいえません。
そもそもトルコ経済は過度の景気刺激策でオーバーヒート気味。
どこかでいったん破裂するかもしれませんし、今はトルコ中央銀行が高い利率を維持していますが、過熱を嫌ってどこかで引き締めに転じたりすると、一気に2〜3円くらい下がるような気もします。
政治的にも、経済的にも、下落する要素がいくつもあります。
お勧めしない理由3: 売りスワップが高い
下落するなら、下げで利益になるよう、売ればいいじゃないか、と考えるのは普通です。
実際、ここ2年で40円から26円まで下がっています。
仮に10万トルコリラを2年間売りポジションで運用していれば、40 x 10万で400万円、それが260万円まで下がるので、140万円の利益になります。
ところが、平均的なオンライン証券会社でトルコリラの売りポジション1万通貨を持つと、1日90円の支払いになります。
10万トルコリラだと1日900円の支払いで、1年で900 x 360 = 32万円、2年で64万円で、うまく行っても利益の半分近くがスワップ支払いに消えることになります。
まとめ: 利益を出すのは容易ではない
いろいろ悲観的なことを書きました。
これらの分析は編集人の個人的な見解が多分に含まれていますが、10年以上観察してきてあり得ない下落を何度も見てきて、何度かチャレンジしては、毎回損切りしてきたのを思い出すと、あり得る気はします。
そもそも利率がいいということは、信用がないから、その分のリスクマネーを上乗せしないと、借り手が付かないということで、「投機的」ということです。
ということで、基本的にはトルコリラには我々アマチュア投資家が手を出すべきではありません。
唯一、利益を得る道があり得るとすると、うねり取りよりも短期間の小刻みな動きで利益を出すリズム取りをすることでしょう。
以下のグラフのように、2日で0.5円を超えるような大きな下落があると、その後はリバウンドします。
ですから、下落の底値付近で買い、次の3〜4日でのリバウンドを取る。
リスクは時間に比例するので(正確には時間の平方根ですが)、短い時間で勝負をかけた方がリスクは少なくて済みます。
ただし悪いニュースがあると、グラフ右下のように何日も連続して下落することもあるので、これとて絶対ではありません。
もう1つの方法を無理やり考えると、上記の下落の次にはリバウンドがあるので、そのタイミングで売りポジションを持つことです。
リバウンドで上がった後に再度下がるので、そこで下落の利益を取る作戦です。
それとて、高い売りスワップの支払いがあるので、短期勝負です。
いずれにせよ、かなり投機的なトレードなので、お勧めはできません。
同じ手法でうねり取りやリズム取りをするなら、先進国通貨や豪ドル、NZドルでも十分できます。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。