こんにちは。IT/経済ジャーナリストで投資家、ここ最近はプログラマーだった渡辺です。
前回はいくつかの条件を考慮した上で、アイネット証券のループイフダンを使ってポジションを建ててみることにしました。
<過去記事>
・【ループイフダン】リピート系自動売買アルゴリズムを考える(その1)
※ループイフダンの詳細や口座開設はこちら
この記事の目次
万能アルゴリズムはないことを理解する
まず理解すべきは、どんな局面でも儲かる万能のアルゴリズムはないということです。
万が一何かクセがあってそこを突けば必ず勝てたとしても、すぐに歪みとしてマーケットに現れ、マーケットの歪みを利用して儲けてやろうと日夜研究している世界中の猛獣たちに見つけられて、すぐに真似され、有効な戦略ではなくなってしまいます。
またマーケットにはトレンドがあり、仕掛けるにせよ、手仕舞いするにせよ、トレンド観をもち、それにどう対応するのかを考える必要があります。
トレンドには投資意欲が強く、買いが増えて価格が上っている上昇局面、投資意欲が低く価格が下がっている下降局面、いずれでもなく一定の幅で推移するレンジ相場の3種類があります。
一般に上昇局面は買いで、下降は売り(株は空売り)で、レンジの際はリズム取りで取るなど、利益を出すアルゴリズムも違ってきます。
それぞれを判定して、手法を使い分けるアルゴリズムがあれば、と思うかもしれませんが、残念ながらどの局面かをリアルタイムで判断するのは現実的には難しく、たとえば本当は下落なのに上昇と判断して買いを入れたりすると、後で含み損や損切りになります(「後から分かるもの」)。
それ以外にもリスクがあり、リスクをできる限り低減しながら、最適な収益スタイルを設定することが重要になります。
●ポジションを建てる前に決める条件
これからポジションを作って、相場の往復から利益を上げていくわけですが、以下の項目について決める必要があります。
・どの通貨を選ぶのか
FXにはいくつかの通貨があり、どれを選ぶかが最初の課題です。
世界の基軸通貨米ドル、米国、中国、日本に次ぐ経済大国であるドイツを含むユーロ、最近ユーロ離脱で揺れるものの経済の強い英国ポンド。
また上記ほどの大国ではないものの、比較的買いスワップが高く投資対象として人気のあるオーストラリアドルとニュージーランドドルも、検討対象として良いかと思います。
・買いと売りのどちらにするのか
上げ相場なら買い、下げ相場なら売りで使い分けられればいいのですが、下落して含み損に耐える局面でもスワップを稼ぎ出してくれること、また損失が天井なしの売りと比べて損失額が限定されるというのもあり、証拠金のコントロールもしやすいので、まずは「買い」から入ってみることにします。
・最大の本数
余裕を持って値動きのレンジをカバーできるし、1回あたりの本数を増やして利益を伸ばせるので、基本的には本数は多いほど勝つ可能性が高まります。
ただし、最大本数は投入した証拠金をベースに、無理のないレバレッジの範囲で決めないといけません。
ここで無理をすると、年に1〜2回くる暴落時に、そこを生き延びても数年に1回の大暴落時に確実にストップロスに引っ掛かり、ほぼ全額吹っ飛びます。
たとえば過去の事例からリスクを考えると、2015年のスイスフランショックのように、瞬時に40%を超える下落が発生することもあります。
本当はレバレッジをかけないのが一番いいのですが、最低限、このような時にでも耐えられる程度のレバレッジ、つまり3倍以下、できれば2倍程度でポジションを建てるべきです。
●過去のパフォーマンスから最適な組み合わせを決める
過去の成績を見るには、メニューから「ループイフダン〔ランキング〕」を選びます。
とりあえず、1)どの通貨がいいのか、2)買いと売りのどちらがいいのか、3)最適なポジションを建てる値幅を決めるため、全てチェックします。
ここで注意しないといけないのは、短期的に良いからといって有効とは限らないことです。
たとえば上昇相場なら買いポジションが好調になるなど、たまたまここ1〜2ヶ月のトレンドに合っているだけの可能性があります。
そこで必ず、1ヶ月、3ヶ月、半年、1年とそれぞれの期間でのランキングをチェックしてください。どの期間でも上位に入っていること、特に1年を通じてある程度コンスタントにパフォーマンスが出ていることが重要かと思います。
この中で、動きが荒っぽいことで知られていますが、通年でパフォーマンスが良く、後述する編集人の今回の資金で無理なくできるものという条件で、英国ポンド(GBP/JPY)の買いポジションをベースに自動売買をやってみることにしました。
●失敗しないレバレッジの範囲で最大本数を決める
もう1つ重要なことで、自動売買する際の最大本数を決めます(前述のように今回は20本としました)。
まずはチャートで月足で英国ポンドの過去の最安値を確認し、どこまで下落するかを確認します。
右のメニューの「チャート」を選び、そこから見たい通貨を選びます。少し長めに確認するので、1週間単位での変化を見る「週足」や1ヶ月単位の変化を見る「月足」を見ます。
こちらによると124円まで下がったことがありました。いちおう余裕を見て100円まで下がっても良いようにレバレッジを逆算し、ポジションを組みます。
一瞬でも低いところにタッチするとロスカットされますので、できれば90円でも耐えられるくらいにしたいところですが。
今回は別口座に入れておいた100万円をアイネット証券に移して、これを実験資金にするものとします。
執筆時に149円ですが、1ポンド100円まで余裕を持たせるということは、50円幅の下落(150円から100円へ)まで受容できるということです。
ということは単純計算で100万円÷50円で 2万通貨まで持てることになります。
自動売買の最低単位は1千通貨なので、この資金で英国ポンドを扱う場合、最大20本まで、ということになります。
結論として、この中でもっともパフォーマンスの良い英国ポンド、50銭幅の買い、最大20本で行くことにしました。
通貨 | ポンド円(GBP/JPY) |
方向 | 買い |
値幅 | 50銭動いたら次の買いを入れる |
最大本数 | 20本(149円から50銭単位で20本) |
レバレッジ | 2.9倍(平均144円×1千通貨で20本÷100万円) |
資金に余裕があれば、上位3位を占める米ドルの方がパフォーマンスが良いのですが、狭い値幅での売りポジションということもあり、試験運用であまりリスクは取れません(汗)。
●今後の戦略
しばらく運用してみて、またここでご報告できればと思いますが、この自動売買をスタートさせた直後、英国のユーロ離脱に関する交渉が難航というニュースが出て一気に4円下がり、8本の買いポジションが順々にできました。
ある意味、絶好の買い場が来た訳ですが、無理なレバレッジは掛けていないので、夜眠れなくなるということはありません。
含み損が出ているのは悲しいですが、こいつらがリバウンドで稼いでくれるということで。
また資金管理を考えた場合、ドルやユーロ、ポンドだと1万通貨あたりで110〜150円しますが、オーストラリアドルやニュージーランドドルなら80円です。
つまり同じ資金、レバレッジで1.4〜1.8倍程度、多くポジションを作れるわけです。その分戦略の幅も広がり、あるいは1回あたりの値幅を大きく取れるので利益が上がります。
ということで、このポジションを運用させて経験値を積みつつ、リスクは抑えつつコンスタントに利益を産んでくれる自動売買のやり方を引き続き研究していきます。
<ご注意>
・証拠金による通貨取引は、損失の可能性があります。
**当研究室では、再起不可能な損失を避けるため、3倍以上での高レバレッジでの取引をしない、売りだけのポジションを単独で持たないといった取引条件の順守を強くお勧めしています。
・投資はご自身の判断と責任でおこなってください。
(c) 2018 R. Watanabe