マーケットの動き 相場技法

暴落時の逆張りの買い方

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テクニカル指標を使ったシステム売買の中で、もっともシンプルだけど効果の高い方法は、暴落で株価(または日経平均や東証株価指数のような指数とかFXでも同じです)がボリンジャーバンドはもちろん、短期・中期の移動平均から大きく下回った水準の時に買いを入れる方法です。

こんにちは。IT/経済ジャーナリストで投資家の渡辺です。

今は銘柄固定方式で、ウォッチしている限られた銘柄に意識も資金も集中させていますが、数年前には東証に上場されている約4,000銘柄を自動処理で分析し、上記の条件で大きく下げたもので、監理銘柄に入るなど経営に問題にあるところは除いて買いを入れ、1ヶ月以内のリバウンド(大きく下げた後の反動の上昇)を狙うという手法を用いていました。

落差の大きい暴落

最近のマーケットは大手の機関投資家がコンピュータによる超高速売買(HFT: High Frequency Trade。何度も言っていますが、超高速で板を読んで先回りして発注するとは、はっきり言って後出しジャンケンのようなイカサマだと思っています)が主流で、何かネガティブな材料が出ると売りが売りを呼び、そこから極端な下げになることが多いです。

極端な下げの時に買う

良く半戻しと言いますが、年に1度くらい、パニック売りで日経平均が1日に1,000円前後下げる時があります。

ところが下げ過ぎと言うことで翌日に買い戻しが入り、翌日は300円とか500円と言った単位で値を戻すことが多いです。

さらに言うと、日経平均は各業界から選んだ代表的な225社の企業(日経225と呼ばれます)の単純平均で得られる、数学的にはかなりよろしくない指数です。

本来であれば、規模に応じて重み付けをしないと数学的には不公平なのですが、それがないため、単純に値段の高いユニクロとかファナックとかの株が大きく動くと、それに連れて指数(日経平均)自体が大きく動いてしまうのです。

この日経平均に影響を与える度合いを「日経寄与度」と呼んだりします。

このため、大手の機関投資家であれば、たとえば安いうちに日経平均の先物を買っておいて、その後にユニクロの株を大量に買って日経平均の価格を吊り上げ、なんて操作ができてしまいます。長年使っているので仕方ないとはいえ、世界的にも恥ずかしい状態です。

もちろん、大手のトレーダーにとっては、こういうマーケットの歪みは好材料なので、喜んでその欠点を突いてくるでしょうが。

ちなみに、もう1つの指数である東証株価指数(TOPIX)は、重み付けをして計算されているので、このような穴はありません。

日に3回の分割売買で様子を見る

話が脱線しましたが、この大きく暴落するタイミングは買いで利益を得るチャンスです

とはいえ、マーケットが狼狽売りで、日経平均、TOPIX、そして多くの銘柄が値を下げ、さらに有事の円買いで円が買われてドル円が円高に振れている状態で、どこかで買いを入れるのはけっこうストレスフルです。

相場で生活するプロ投資家は必ず成り行きで買えといわれますが、恐ろしくてついつい指値で買ってしまいます。それでも約定した直後からもどんどん下がり、見る見るうちに含み損が増え、(しまった、買うタイミングが早過ぎたか?)と目まいを感じることが良くあります。

それでも、神様でもない人間の身で未来のことは分かりませんから、価格変動リスクを低減するには、分割売買をするしかありません

どのくらい下がるか分からないので、管理人は以下の3つの視点で分割売買を実行しています。

過去の暴落時の動きを見ておく

まずは、自分の持っている株(ETFやFXの場合も同様)の暴落時の動きを、過去のデータなどで見ておきます。

たとえば前日に500円だったのが暴落時に50円下がったとか、最大60円下がったなどと把握しておけば、もちろん未来に何が起きるかは分かりませんがだいたいの値幅の目安にはなります

朝、昼、大引けの3回

次に買いを入れるタイミングです。

まずは朝の寄付き(最初に売買が成立する瞬間)では、売りが多くて買いが少ないので、すぐには売買が成立しません。前日から大きく値を下げて、最初の売買が成立します。

これをギャップダウンといいます。

そこで最初の買いを入れるといいでしょう。もちろん、見ている側からどんどん下がるような凄まじい暴落の状況でまだ下がりそうな気配であれば、少し様子を見ても大丈夫です。

次に動くには午前10時30分、中国の市場が始まるところです。世界同時株安の場合は、中国もギャップダウンで始まりますから、そこで日本市場も一層の下落になることが多いように思います。

そして11時30分に日本市場の前場が閉まります。ここまでの値動きを見て、かなり底の方に来ていたら、12時30分の午後の開始と同時に買いを入れるといいでしょう。

さらに14時30分を過ぎ、日本市場の残り時間が30分を切る頃になると、2つのシナリオがあります、

1つはさすがに下げ過ぎだと市場が考え、買い戻しが入るパターン。

下落が落ち着くようであれば、ここで最後の買いを入れるといいでしょう。

逆にまだ落ち着きどころがなく、下げが止まらない場合は、最後まで待って14時50分くらいに下げまくったところで最後の買いを入れます。

場合によっては翌日にリバウンドがなく、もう一声下げる可能性もあるので、タイミングが合わない、もしくは踏ん切りがつかないようであれば、無理して買わず、翌朝の様子を見ます。

もちろん、その日の晩にいいニュースが出てマーケットが再び上昇することもあり得ます。その時はそれ以上無理して買う必要はありません。

3回買うつもりだったけど、タイミングを逃して2回しか買えなかったとしてもOKです。戻りで利益が得られる可能性は高いので、安値で買えたということが重要なのです。

値幅で待ち構える

分割売買で平均値を下げていき、できるだけ安く買うためには、可能な限り1回目より2回目、2回目より3回目と買値を下げていくのが理想的です。

たとえば過去の暴落時に500円から一時430円まで下がったという銘柄であれば、70円幅ですが、少し余裕を見て25円ずつ3回、すなわち1)まず前日終値500円から25円下がった475円で最初の買い、2)次にそこから25円下がった450円でナンピン買い、そして3)さらに25円下がって425円で2回目のナンピンを入れます。

1単位ずつ買っていれば、これで平均450円になりますし、もし最初は1単位でも2回目は2単位とか(1-2-2)とか(1-2-3)といった不等分割で安値ほど多めに買っていれば、さらに平均値が下がるので、より早くより大きな利益が得られるようになります。

FXでも応用可能

同じやり方でFXでも応用可能です。

たとえば政府の要人の発言や政策の変更、地政学的なリスク、経済危機、また米国と中国の通商に関する駆け引きなどで、大幅にマーケットが崩れる時があります。

たとえばややリスクの高い新興国通貨である南アランドでは、以下のように年に1回程度、大きな下げが起きる時があります(これは月足です)。

暴落を示すヒゲが大きく下に出ている

南アランドは1ランドが7円とか8円なので、通常は10万通貨単位で売買されます(ですから1単位で70万円とか80万円になり、ちょうど豪ドルやニュージーランドドルと同じ程度の金額になります)。

この下ヒゲを見ると分かるように、短時間で1円程度の下げがあります。

ここで上記のようなやり方で買いを入れておけば、その戻りを取ることができます。戻りが1円であれば、利益は10万円となり、それを何本か持つことで、30万円とか40万円の利益も見込めます。

ここでも分割売買をして保有の平均値を下げていくことが、勝率を上げる秘訣です。

ただし、今動きが非常に不安定でどこまで動くか分からないトルコリラだけは、投資には向かないので、手を出さない方がいいと考えます。

 

 

 

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