投資全般 相場技法

ファンダメンタルとテクニカル

投稿日:2018-01-28 更新日:

こんにちは。IT/経済ジャーナリスト、投資家の渡辺です。

株やFXなど価格が変動するもので利益を得る場合には、どのようなシナリオで収益を得るのかを明確にする必要があることを以前ご説明しました。

ご参考: http://money.ai-life.info/2018/01/13/modeling/

その流れで、もう1つの投資の際の大事な考え方をご紹介したいと思います。

どこかで聞いたことがある方も多いかと思いますが、投資の対象の選定や参入のタイミングを決めるやり方として、ファンダメンタルとテクニカルがあります。

ファンダメンタルというのは、その投資対象の基本的なスペック、たとえば財務状況やビジネスモデル、マーケティングの良し悪し、中期的なビジネスの計画やその見込み、さらには経営陣の考え方や社長の経営思想や人柄といった情報を判断して、今後の成長が見込まれる会社に投資するというものです。

成長すれば、売上や利益が上がり、それによって会社の価値が上がり株価にも反映されたり(例:300円で買ったものが500円に上がる)、より多くの配当が出て(例:年利で0.5%だったものが2%になる)結果的に投資家が利益を得るというものです。

 

さてもう一方の考え方、テクニカルは直近の、もしくは過去の株価の動きを計算して何らかの傾向を出し、通常より安値に振れている(=買いのタイミング)、通常より高値に振れている(=売りのタイミング)、通常より売られすぎである(=買いのタイミング)、通常より買われすぎである(=売りのタイミング)を判断していくものです。

テクニカルの指標や考え方にはさまざまな種類がありますが、過去の値動きを土台にして、確率・統計的な手法で処理しているという点はほぼ共通していますし、これが決定打というものも今のところ存在していません。

さらにいうと、現代の金融市場は世界中つながっているので、この世界のさまざまなエリアの動向や事件、出来事などの情報が市場の動きや個々の株価に反映されます。

つまり金融市場の動きは、何か数式で表現できる物理学のような世界でなく、ランダムに動く複雑系であるので、何が起きるか分かりません。

これがテクニカルの限界でもあります。もっともファンダメンタルも昨今の大企業の偽装みたいに、嘘の情報を公表しているケースもあるので、決定打がないのはいずれのやり方も同じです。

たとえば、金融商品の適切な価格の算出式(ブラック・ショールズ式)を編み出してノーベル賞を取った2人の偉大な経済学者を要して、高度な確率論的なアプローチで巨額の資金を動かしていたLTCMというファンドがロシア危機による想定外の動きに資金を吹っ飛ばしてしまい、世界経済を大混乱させた出来事がありました。

理論的には株価の動きが100%といわなくても60%くらいでも予測できれば、その差を積み重ねていくことで、かなりの額の富を市場から引っ張ってくることができるはずです。ところが残念ながらそういう話はありません。

ただシステムを使ってトレードをしている人はこのような指標を使っていることも多いし、やはり会社の保有する資産や過去の株価から見て割安になった株は、安く買いたい投資家の買いが入るので、ある程度の有効性はあると思っています。

もう1つ、昨今の大手の機関投資家では、ある銘柄の株価について、いくらでどのくらいの分量の売りと買いが集まっているのか(この売買の待ち状況を「板」といいます)を超高速コンピュータを使って、0.000何秒の超高速で見て先回りして売買を入れてわずかな値利益を繰り返し積み重ねていく超高速取引(HFT)という手法があります。

一般の市場参加者に比べて、高速なネットワークが大手の機関投資家向けに東京証券取引所やニューヨーク証券取引所では提供されています。板を見て売買の動きを知り、先回りしてトレードするので、驚異的な勝率となるようです。

いちおう金融商品取引法で高速取引をする業者には一定の規制がありますが、そもそも一般の市場参加者はコンピュータを使ったトレードはあまり環境が整備されていないし(というか制限だらけ)、一部の市場参加者だけに先回りを許すとは単なるイカサマギャンブルではないかと。海外ではすでに問題になっているようですが、昔から政府系と大手はイカサマOKといわれた日本の金融市場は将来的にもどうなることやらですね。

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